今回は世界遺産に選ばれた日本の誇る山、富士山を舞台に
「富士3Peaks」に挑んできました!
書いてないけど自転車には乗ってます。 だって馬鹿だもの。
【富士3Peaksとは?】
富士山をぐるり1周する事を目的にした自転車の遊び方の一つだよ。
1周するついでにあざみライン、スバルライン、スカイラインの5合目まで全部登るよ。
距離は210キロあるよ。 獲得標高は5300mぐらいだよ。
【この挑戦に対するみあぎ記者の意気込み】
富士3Peaks?
強いよねえ。序盤のあざみ、中盤のスカイ、終盤のスバル、隙がないと思うよ。(フラフラ)
だけど…俺は、負けないよ(フラフラ)
え〜、きんに・・・筋肉達が躍動する俺のヒルクライムを皆さんに見せたいね(フラフラ)
【スタート地点:須走口】
午前6時 自転車乗りの朝は早い。

濃霧が立ち込めて30m先もよくみえない須走口からスタートをします。
富士3Peaksのルールは上記した通りいたって簡単でシンプルです。
制限時間無し、主催者無し、自主的に始め、自主的に達成するか、自主的に諦める。
達成しても何も無し。 拍手無しで喝采無し。 あるのはただ達成感のみの競技ではない遊びです。
富士山を中心に1周するコースの道中にあるあざみライン、スバルライン、スカイラインを登りきりスタート地点に帰ってきてゴールとなります。
周回する方向は時計回りでも逆時計回りでもどちらでも達成となります。
今回は以前の記事でsaco ride 伊豆430を共に走ったざくさんとお互いに逆方向で周るという「走る方向は違えども死す時は同じ」という別々に走りながらも運命共同体的なチャレンジとなりました。

6時50分、道の駅すばしりを出発し、最初の難関あざみラインに挑みます。
【富士あざみライン】
総距離: 11.4km
標高差: 1200m
平均勾配: 10.5%
最大勾配: 22%

平均勾配を10%を超え、最大勾配に到っては22%。
序盤の4キロは7〜9%の勾配が続き、中盤は一転6%前後に落ち着くも、終盤から16%〜20%の激坂が続くドSコースです。
あまりの勾配のきつさに、終盤の坂は「馬返しの坂」と名付けられ、読んで字の如し馬がひっくり返った事からそう呼ばれています。
実はこの坂あの弱虫ペダルのインターハイ編3日目に出てきたコースで、ここの頂上こそインターハイのゴール地点です。
終盤の激坂は並々ならぬもので、Jプロツアーでプロ選手たちが闘うコースの一つでもあります。
あざみラインはスタート地点でもあるのでこの坂はざくさんと共にスタート。
序盤6キロあたりまでは同じペースで雑談を交えながら登っていられましたが、
終盤からは記者はマイペースで登る為ペースを落としここでざくさんを見送り別れます。
ここはまだまだ地獄の一丁目。 ここで自重しなければ十中十で体力が尽き走りきれなくなること請け合い!
記者のギア比は今回フロント34T リア28Tを用意し、軽いギアで身体に負荷がかからないように登る事を心がけましたが、このギア比をもってしてもペダルの回転数が40rpmを下回る場面があるほどといえば、ここの激坂がどれだけイカれてるかお分かりになると思います。

1時間15分をかけ一つ目の坂を攻略!
朝8時少し過ぎだというのに5合目には車でやってきた登山者たちで既にごった返していました。
ここでの気温は14度。 夏場とは思えない涼しさに薄着の記者は軽く凍死しかけます。
しかし本当の地獄は下りに待っていました。 散々説明した通りの急勾配の為、下りのピーキーさも伊達じゃない!
さらに20m先もろくにみえない濃霧の水分が速度を上げると容赦無くアイウェアに張り付き雨の中ワイパーを使っていない車のようになりさらに視界の明瞭さを奪います。
これはあかん。
とペースを下げて下るも身体に着いた水分が受ける風で揮発し気化熱で体温を奪われ夏とは思えない冷えきった身体で次のスカイラインを目指します。
【富士スカイライン】
総距離: 16.5km
標高差: 1200m
平均勾配: 7.3%
最大勾配: 10.5%

上記のデータはスカイラインの正式なスタート地点からのデータですが、実際は陸上自衛隊滝ケ原駐屯地から登りがスタートしている為、その距離は実に28キロ 標高差は1650mにもなります。
滝ケ原駐屯地から4〜6%の勾配が続き、じりじりと体力を削って行きます。
左右には延々木々が続き、時折聞こえる鳥と蝉の声以外静寂に包まれた中を淡々と走ります。
「右に曲がるところがあればスカイラインだ」
とうろ覚え気味に頭に入れたコースを頭で反芻しつつ、左側に見えた立札を見てみるとなんとそこにはあざみラインでも見た「馬返し」の文字が。
「へぇ、あんたも馬返しって言うんだ」
とNANAの名台詞っぽくをぼそりとつぶやき、(早くも頭のネジがゆるみ始めてるな)と実感します。
やがて右に道が見え、とても大きな登山道への案内をチラ見して「あぁここか」と思いそこを曲がり進みます。
しかしあざみラインのようにここでも16%の勾配が続き、「聞いてた話と違うなぁ」と思って登りきってみたら
そこは御殿場口と呼ばれる別の登山道入口だったことが判明。そう、ルートミス。 まさかこんな単調なルートでミスを犯すとは思いもよらず。
「登ってる最中におかしく思えよ 俺!」と後悔しながら下り、これにより30分ほど時間をロスします。
本来のルートに戻り富士宮方向へ道なりに進めば今度こそ本命のスカイライン入口。
スカイラインは夏の時期はマイカー規制がされており、通行できる車両はバス、タクシー、そして自転車のみ。
車に追い抜かれる心配が少ないというだけでもかなり登りやすく、広い道幅と綺麗な路面、勾配もずっと5%前後の為ペースを崩す事なく登れとても気持ちよく登れました。
視界は相変わらずの濃霧の中で20m先もはっきりしないコンディションのままではありましたが。

静寂に包まれた山の中を登り、下から登ってきているタクシーとバスのエンジン音を聞き取りながらルート取りをし、無茶のない戦略で無難にクリアします。

11時20分 2つ目スカイラインをクリアー。
5合目もまた濃霧に包まれており、気温はなんと12℃!
おかしい 今は7月だよな。
そりゃ夏にTシャツで登山にきて寒くて動けませんと遭難して救助される人も出るわ。
標高2300m共なればもはや下界の気温の常識は通じない。
身体が冷えるより前に下りきらねばと下り始めるも、前をバスがおり、カーブを曲がるたびに大きく減速しペースが遅いためブレーキをかけ続けている両腕は疲弊し、寒さで震えが止まらず、足の指先がしびれ始めていました。
30分かけて料金所まで下り終え、バスをパスして一路富士宮まで一気に下ります。
ここから富士宮までは15キロもの間で1000mも下るロングダウンヒルです。
5合目に比べて暖かい下界の空気で身体を十分に温め、いい加減空腹を覚えていた腹に理性を奪われ食欲を糧に走りました。
篠坂の交差点を曲がり72号のアップダウンを通り抜け、上井出交差点のファミリーマートでようやく休憩に入ります。
食事は大盛りペペロンチーノとりんごジュース500ml、そして良い子の味方ブラックサンダー。
富士宮に来たのに富士宮焼きそば食ってるタイムロスが惜しいとはトホホと思いつつ、
「富士宮ペペロンチーノうめー! 何ペペロンチーノって!下ネタ? ビビるわ!」
と勝手に富士宮とつけ自己暗示して食欲の不満を押し込めます。
【目指すはスバル!その道のどかにつき】
満腹になった腹を抱えて再スタートし、71号をひたすら北上します。
ここから先は富士山の西側を走るわけですが、ここから20キロあまりで600m登るゆるい勾配がずーと続きます。
左手にミルクランドという牧場を通り過ぎた頃、走行距離100キロ地点にてついにこの瞬間が参ります。
それは逆回りをしているざくさんとの邂逅!
お互いに調子を確かめ合いエールを送り、「ゴールでまた会おう!」 というたわいもない掛け声。
しかしどうしてこれが萎えていた心に力が入る喝となるのだから人間とは不思議なものです。
別れてしばらくすると左手に放牧されている牛達が悩ましげなポーズでのんびりしており、
さらにしばらく行くと右手にはなんとジンギスカンが放牧されていました。

ここはアルプスかどこかか、ハイジ、クララ、ペーター、トライさんはいずこ。
のどか過ぎるだろ。 富士山。 あとお肉食べたい。
20キロの登りが終えればそっから先は今度はスバルライン入口までのダウンヒルスタート!
新緑に包まれ、天候が回復してきた為木漏れ日が入る最高にきもちいい中を走る事が出来ました。

【富士スバルライン】
総距離: 25km
標高差: 1270m
平均勾配: 5.1%
最大勾配: 7.8%

いよいよ最後の難関、富士スバルライン。
富士山で行われるレースでもっとも参加者の多いMt.富士ヒルクライムのコースです。
料金所手前から序盤に7%前後の勾配が1合目の駐車場まで3キロ続きます。
そこから先は勾配が4%前後と7%前後が交互に出てくる道で、タイムを出すコツは4%前後の勾配でギアを上げてガンガンペースを上げていくこと。
そして7%前後の勾配では体力を使わないこと。
これを守れる脚を持っている人なら大会で1時間30分を切るともらえる銅スペーサーが十分狙うことができます。
今回もその作戦で登るつもりが・・・やはり疲労は隠せません。
ここまでで既に4000m近く登り、距離は130キロを超えています。
4%前後の勾配でペースを上げる事がままならず、ただ淡々と登る事が精一杯。
5合目まで10キロを残し、ボトルが空になってしまいここから1時間はかかるのに脱水症状になったらどうしようという恐怖に苛まれます。
水が無い、コンビニなんてあるわけがなく補給できるめどがない。
次水分を口にできるのは一体いつになるのか。 足だって疲弊している。 辛い辛い辛い!
こうなるともう頭の中に苦しさしかありません。
辛い辛い辛いと思い続けてる中、追い抜く車の窓から「ガンバレー!」と子供達から応援をもらい振り絞って「おう!」と応えなんとか踏みとどまります。
そして5合目まで3キロ手前にある駐車場に自動販売機を発見!
やったぁぁぁーーーー!!!(この日一番の歓喜)
ここで2本飲み干しボトルを補充し完全に英気を取り戻します。
冷静を取り戻し、ふと横を見てみると

上空には青い空、眼下には雲海がどこまでも続いていました。
応援をもらって、望んでいた物を得て、こんな景色を最後の坂ラスト3キロで見せられて、
やる気を出さないほうがどうかしています!
一体どこにそんな元気があったのか、ギアを2枚上げてガンガン登り、5合目の2キロ続く駐車場を35キロペースで爆走。
駐車場から5合目に向かって歩いていたさっきの子供達に再度応援をもらい右手を挙げて応えさらにペースアップ。
ラスト500m付近の登りもそのまま登り切りスバルラインを制覇しました。

勝った!第3部・完!
と盛り上がるのはちと早い。
ゴールはあくまでもスタート地点の須走口に戻ってゴール。
登頂時点で時間は16時50分。
密かに目標にしていた12時間切りをするには2時間以内に須走口まで戻らなければなりません。
急いで下り返し、運がいいことに前を走る車に追いつくことも後ろから追いつかれることもなくマイペースで下れ、
あっ!と言う間に138号へ。
そこから山中湖まではダラダラ登り道が続き、山中湖からは平坦の湖畔を左回りにひた走ります。
御殿場方向に行くと富士3Peaks最後の登り、籠坂峠に入ります。
「ここを登りきればあとは下りだけ!」
日が暮れ始め焦燥感に駆られる中その思いを糧にして登ります。
籠坂峠の標識を超えて須走口まで続く最後の下りが始まります。
疲労から来るミスに注意し重心移動を意識してライン取りをして行きます。
あと少しあと少し!というところで先にゴールして心配してルートを逆から登ってきていたざくさんを発見するも、
「そのまま行けぇぇー!!」の声に「はい!」と返事をして握りかけたブレーキをこらえ減速せずにコーナーへ。
勢いとテンションをそのままに道の駅すばしりへと滑り込み、11時間33分39秒にて富士3Peaksを達成致しました!


【無茶は禁物 富士3Peaks】
このチャレンジで大切な点は絶対に無茶をしないということ。
これだけの獲得標高と距離を走ると、序盤、中盤の無茶が後半にドッと来るため結果的にタイムを落とすことになります。
ギアはフロントは34Tのチェーンリング リアは28T以上のスプロケットにて挑み、ペースと体力を保ちつつ登ることこそが速さへの近道です。
つまり基礎や地脚が出来ていれば保ちつつ登っても自ずとタイムは出るとも言えます。
もし挑まれる時は軽いギア比をセッティングし、陽が長くて暖かい夏場に朝早くから始める事をオススメします。
記事内にもある通り、いずれも5合目は標高2000mを超え天候によっては夏場でも震えが止まらないほど寒くなりますので折りたたみ式ウィンドブレイカーの携行も推奨したいです。
補給地点の場所をあらかじめチェックしておく事もスバルラインで陥った脱水症状の恐怖に陥らない為の手立てです。
登りでは重量になるボトルですが、あざみラインでは2本目のボトルは空の状態で登り、スカイラインやスバルラインのような長い登りの時には2本とも詰めて登るというマネージメントも必要だと思います。
また無理だと思ったときは諦める勇気! これもまた大切です。
快晴の日にすれば美しい富士山を眺めながら挑むことができると思います。
綺麗な景色を見ながら楽しんで走れること間違なしなので、是非オススメ致します!
灼熱地獄かもしれないけけどな(ボソリ)
ツイッターアカウント:miagi1552
2013年07月21日 22時56分23秒 Posted by
みあぎ3 ( 16,080 PV ) 勢い:6
この記事の評価
コメント(リンクの記載「http://」は行えません)
1 名前:名無し@ガガリアン 2013/07/21(日)23:24:14. ID: 100bd4a8p
久しぶりの記事乙ですwwwwww豪脚でうらやましいです(´・ω・`)
2 名前:名無し@ガガリアン 2013/07/22(月)12:01:16. ID: 76436b4dp
たのしかったっす
3 名前:名無し@ガガリアン 2013/07/22(月)12:33:58. ID: 71640363p
あざみのキツさやスバルの終わらなさ具合は実際に走らないとなかなかわからんもんでしょうなあ
4 名前:名無し@ガガリアン 2013/07/22(月)17:29:58. ID: d392838ep
もうGAGAZINEはチャリネタしかまともな記事はないのかorz
5 名前:名無し@ガガリアン 2013/07/22(月)23:41:00. ID: c39a4d1ep
>4
GAGAZINEは誰でもウェルカム
お
ま
書
6 名前:名無し@ガガリアン 2013/07/23(火)15:41:59. ID: f2a92c3bp
あざみはやっぱり28Tはいるかw
すばるしか登ったことないからなあ。
7 名前:名無し@ガガリアン 2013/07/23(火)20:47:18. ID: ad58eb07p
単純に面白かった
まあ、他の色々な記事の中にたまに
良い記事がくるとより際立つな
8 名前:名無し@ガガリアン 2013/08/09(金)23:46:03. ID: 87cc3350p
ついに自転車契約してきたったwwwww
9 名前:名無し@ガガリアン 2013/08/21(水)23:48:38. ID: b119d94ap
良かった 記事が
良かった 無事で
10 名前:名無し@ガガリアン 2013/09/03(火)12:06:15. ID: 2869c85ap
オイラと同じブライトン50ユーザー・・・かなり希少の気がしますww
とは言え、脚力は天地雲泥の違い!
凄すぎ!!